2012年11月26日

長い長い殺人

長い長い殺人
読むのが億劫な気がするけれど、いざ手にすると読みはまってしまう、そんな作家が宮部みゆき。彼女の作品にもハズレが何作かあって、特に『ブレイブ・ハート』はひどかった。その記憶があるので、もしこれもハズレだったらどうしようという躊躇いが生まれてしまうのだ。

本書は、まずまずアタリに近いほうだった。
轢き逃げは、じつは惨殺事件だった。被害者は森元隆一。事情聴取を始めた刑事は、森元の妻・法子に不審を持つ。夫を轢いた人物はどうなったのか、一度もきこうとしないのだ。隆一には八千万円の生命保険がかけられていた。しかし、受取人の法子には完璧なアリバイが……。刑事の財布、探偵の財布、死者の財布……。“十の財布”が語る事件の裏に、やがて底知れぬ悪意の影が。
というわけで、財布のモノローグによる小説。 ちょっと変わり種ではある。また最後のオチというか、犯人というか、ちょっとそれはミステリの鉄則からはズレているんじゃないのかなぁと思ったけれど、全体がそこそこよくまとまっていたから良しとしよう。

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