2015年5月11日

脳の中の天使


脳神経科学者ラマチャンドランによる『脳の中の幽霊』(ブログ内では、『足の裏と性感帯、それから脊損患者の性感帯』で紹介)の続編のようなもの。原題は、
『The Tell-Tale Brain A Neuroscientist’s Quest for What Makes Us Human』
邦題はあまりに前著を意識しすぎな気がする。

切断された後の腕が痛む幻肢痛、数字や音と同時に色を感じる共感覚、自閉症、ミラーニューロン、美と脳神経学、言語の進化など、題材は他方面に及ぶがメインテーマは脳そのものと、脳の進化についてで、緻密な観察と深い洞察による鋭い考察がなされている。脳構造や機能に関しては冒頭で多少の説明があるものの、やはりある程度の知識がないと読み進みにくい部分がある。そういう時にはあまり細かいところにこだわらず、ラマチャンドラン博士の「知のジャグリング」とでも言うべき知的妙技を楽しみながら脳の不思議に触れるのが良いだろう。

精神科医としては、臨床における思考のヒントとなるような部分が多数あり有意義であった。

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