2017年1月16日
新選組アレルギーを治療してくれた小説 『壬生義士伝』
新選組に対して、これまであまり良いイメージを持っていなかった。はっきりした理由は思い当たらないのだが、もしかしたら昔なにかで読んだ「坂本竜馬を殺したのは新選組だ」という話のせいかもしれない。だからといって、特別に坂本竜馬を敬愛しているというわけでもないのだが……。
そんなわけで、これまで新選組関係の小説も映画も避けてきた。大して新選組のことを知りもしないのに、食わず嫌い状態だ。それなのにどうして本書を読んだのかというと、新選組がらみの話とは知らなかったである。
本書は、主人公である吉村貫一郎について、身近にいた人たちによる思い出話という形式で進んでいく。読み始めた時には、口語体、それも東北のキツい方言なので、なんだかモサモサして読みにくいなと思ったのだが、いつのまにかグイグイ引き込まれてしまい、東北の方言も耳に心地よくなり、ついには妻に対して謝るときに、うっかり「おもさげながんす」と言いそうになるくらいだった。
すごく良い小説で、何度となく涙ぐまされたのだが、一つだけ難癖をつけるなら、「みんないい人ばかり」ということだろうか。はっきりした敵役、憎まれ役がいないので、勧善懲悪的なカタルシスは得られない。敢えて言えば、時代が敵で、貧困が憎まれ役、というところか。妻子ある男性、特に単身赴任して頑張っている人は、涙なしで読めないのではなかろうか!
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原作は読んでませんが、映画は見ました。
返信削除あまり涙もろい方ではありませんが、この映画には泣けました。
私も幕末とか新撰組とかあまり関心がなかったのですけど、
映画を見た後は調べまくりましたよ。
浅田次郎は「鉄道員ぽっぽや」を読みました。映画も良かったです。
この作品も「みんないい人ばかり」でしたけど(笑)
>風花さん
削除『ぽっぽや』は、俺にとって浅田次郎初体験だったかもしれません。面白かったですね。そこから他の本を読みだしたような気がします。
今現在、新選組についての小説のうち、Amazon評価の高いものを次々に買っているところです。溜まっていくぅ……。