2015年9月18日

僕の父は母を殺した

小学校6年生の時に、実父が実母を殺した。

事件当初は、母が酔った上での溺死と思われた。父と二人で支え合いながらの二年間を過ごし、そして父は著者の目の前で詐欺容疑にて逮捕される。それからしばらくして、テレビニュースで父が母を保険金目当てで殺人したという情報を知ることになる。


著者は父を激しく憎み、それから何年もの間、万引きやバイク泥棒と素行は荒れ狂い、自殺未遂も繰り返した。そしてついに、自らの前進のため拘留中の父と会う決意をする。

父と直接に話し、手紙をかわし、著者は裁判では認められなかった「父にとっての事実」を知る。しかし、だからといって、「裁判では認められなかったが、父の言い分のほうが真実だ」とは主張しない。あくまでも「父の話」であり、周囲はともかく自分はそれを信じる、と明言するに留めている。そして、父が高裁で死刑判決を受けた後も、なんとか死刑を免れるように手を尽くす。

「死刑に反対というわけではない。ただ、自分は加害者家族であると同時に、被害者遺族でもある。そして自分のように、被害者遺族が死刑判決を望まない、そんなケースもあるのだということを伝えたいだけ」
そういうふうに著者は語る。

本のカバーに顔も含めた全身の写真を使い、実名を明かしたうえで、こういったことを主張していくのは相当に勇気が必要だっただろう。また不利な扱いを受けることも多かっただろう。それでも著者は腹をくくって、表舞台で堂々と自分の考えを訴えている。

冗長さもなく、スッキリとまとまっており、時おり涙ぐまずにはいられなかった。

どうにもショボい「元少年A」とは大違いである。

2 件のコメント:

  1. 私の中学校の同級生のお父さんがまさにお母さんを殺害しました。中学1年の時の出来事でしたが、ある日学校へ登校すると同級生が窓にいっぱい張り付いて指差ししてるんですよね。

    「何しとーと?」って質問すると「ニュース見とらんと?」の返事。

    夜中に事件があったようで、朝のニュースで報道されたようでした。遺族である友人は事件後登校できる状態ではなくなって、転校してゆきました。数年後偶然駅で再開した時に、真面目だった子が大変荒れた子になってて一瞬誰か分かりませんでした。

    身近で被害者であり、加害者の家族になった人を目の当たりしているので、こういう事件はやり切れないですね。紹介の本、読んでみたいです。修羅の国福岡でしたので在学中は全国ニュースで2回、報道陣が来ましたよ。

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    1. >やまさんさん
      第三者とはいえ、すごい体験をされたのですね……。
      かくいう俺も、実は中学の時に、父親がある連続殺人事件の重要参考人となってしまい、警察が家や父の職場に来ていました……。マスコミは来ませんでしたが、あまり気持ちの良いものではありませんでした。

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