2014年2月27日

医学生・研修医にぜひとも読んでみて欲しい本 『医師は最善を尽くしているか― 医療現場の常識を変えた11のエピソード』


アメリカの外科医が書いた本。医学生・研修医にぜひとも読んでみて欲しい。分量のわりに3200円というのが痛いが、間違いなくモチベーションは高まる。

筆者があとがきで述べている「医学生・研修医に勧める5つのこと」が、本文にもまして印象に残った。

1.筋書きにない質問をしなさい。
患者を診察する時、医学的な質問以外に、例えば「好きなスポーツは何か」(映画でも音楽でもテレビでも何でも良い)といったことを聞く。するといろいろな反応がかえってくる。そして話を聞き、カルテに書く。著者は言う。
「患者は右ソケイ部ヘルニアの46歳男性ではない。患者は46歳の元葬儀屋で、葬儀ビジネスを嫌っており、ソケイ部にヘルニアがあるのだ」
こういう質問は、患者だけでなく看護師、看護助手、医療事務といった人たちにもどんどんする。会話がどこまで続けられるかやってみる。それがいつも役に立つというわけではないけれど、人とのつながりは大切だ。

2.不平を漏らすな。
不平だらけの俺には痛いアドバイスである。著者はこう言う。
「医療現場において、医師が不平を漏らすのを聞くことほど、周りのやる気を奪うものはない」
医療は野球と同じチーム・スポーツだが、野球と違って、困難な局面で駆け寄ってきてくれるコーチはいない。医師は自分で自分を励まさなければならない。

3.何か数えろ。
とことん単純化して言えば、科学とは「数える」ことである。対象は何でもいい。決まった時間に何人の患者を診たか、何人が外で待っていたかでも良い。研究費も要らない。
「ただ一つの要件は、それがあなたにとって興味を惹く対象だということだけだ」

4.何か書け。
論文でなくても良い。ブログでも良いし、完璧を目指す必要もない。
「あなた自身の世界を観察してくれる他人を加えることだけが必要である」
「書くという行為は、仕事から一歩身を引き、問題を見通す機会を与えてくれる」

5.変われ。
新しいアイデアに対する反応には3つある。初期採用者(アーリーアダプター)か、後期採用者か、変化に抵抗し続けるかだ。著者は「医師は常にアーリーアダプターになる」よう助言する。
「今やっていることの不十分さを努めて認めるようにし、そして解決法を探すようにしなさい」

そして最後に、こうまとめる。
何か新しいことを試し、何か変えてみなさい。何回成功し、何回失敗したかを数えなさい。それについて書きなさい。どう思うか人に聞きなさい。そして、会話がどこまで続けられるか試してみなさい。

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