2015年12月1日

トリックの連続に警察も読者も翻弄される 『魔術師』


脊髄損傷によって、首から上と左手の薬指しか動かせなくなってしまった天才犯罪学者リンカーン・ライムを主人公にしたシリーズ。小説の中では美形の白人男性という設定だが、映画の影響で俺の脳内変換ではずっとデンゼル・ワシントンになっている。

著者のジェフリー・ディーバーは弁護士で、これまでのライム・シリーズの多くが社会問題を扱っていた。しかし、本作はひたすら手品やイリュージョンに関する雑学と、それらを駆使したトリックに終始している。普通のミステリ小説としてストーリーを追いかける分には、最高級と言って良い面白さだが、社会問題への切り込みがなかったぶん物足りなかったことは否定できない。

シリーズ初期と比べて翻訳もだんだん巧みになっている。そりゃそうだ、プロだって成長し続けるのだから。もちろん、精神科医も成長する、しなければいけない。そんな変なところでプロ意識を刺激された一冊。

0 件のコメント:

コメントを投稿