SMのM、つまりマゾのほうとして風俗店で働いた著者の体験エッセイ、という形式の小説、かな?
真っ白なスーパーカーで迎えにきた初めてのお客さんは助手席の私にいった。のっけからこんな感じで、何度となく吹き出しつつ、しかし、どの章をとっても、滑稽さと同時に哀しさと切なさが漂う、非常にエキセントリックかつ面白い本だった。
「じゃ、浣腸しといて」
著者は泉水木蘭という女性。話の中身は具体的で、実体験した人でないと描けないようなものではあるが、多くの風俗嬢を取材することでも描写可能かもしれない。やけにデキすぎていて、まとまりすぎているせいで、小説のような気がしてしまう。また、著者のWikipediaにも風俗歴については触れられておらず、それも本書を「小説だろう」と考える理由である。
ちなみに、Wikipediaで知ったのだが、著者はお笑い芸人・小梅太夫の元妻。小梅太夫はまったく面白くなかったが、こんなセンスのある妻がいたのなら、ネタを作ってもらえば良かったのに……。チクショー!
※文庫版は中古しかないが、単行本は新品がある。古本が苦手な人は単行本かな。文庫のほうには松尾スズキによる解説があるようで、しかもそれが一読の価値あるものとのこと。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。