ある日突然に黒い粉を吐いて死ぬという謎の奇病。のちに「黒手病」と名づけられるこの病気は、どこから来たのか。人から人へうつる感染症なのか。なにも分からないまま、解剖医や感染症の専門家たちが手探りで奮闘していく。
Amazonの紹介には、こうある。
監察医務院の遺体から未知の黒色胞子が発見された。そして一年後、口から黒い粉を撒き散らしながら絶命する黒手病の犠牲者が全国各地で続出。ついに人類の命運を賭けた闘いが始まった。「人類の命運を賭けた」という表現はちょっと大げさで、舞台が日本から出ることはない。
これ以上はネタバレになるので書けないが、「登場人物の使いかた」がとても贅沢であった。植物学や歴史学も絡めながら伝奇的な様相も呈して、下手にやると散らかった感じのストーリーになりそうなところを巧みにまとめあげている。
ラノベほどではないがセリフが多め。厚めの文庫だが、読み終えるのに時間はかからない。パニック小説系が好きな人には「面白かった」と率直にお勧めできる。
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