認知症への対応は、子どもの発達を頭に入れておくと役に立つ。
1.介護される。
2.意見を言う、イヤと言う。
3.自分で自分のことが分かる。
4.お手伝いができる。
5.能力を自分でも認め、人にも認められるようになる。
6.他人を介護する、教える。
認知症はこれを逆に進んでいく。そして、できるだけ成長した段階をあせてあげることが相手を大切にしていることになるし、看護にもやりがいがある。例えば、重度の認知症だと受身の介護だけであるが、ここでたとえばオムツを替える時に嫌がるそぶりがあれば、
「イヤだよね、イヤだったらイヤって言ってみましょう」
と声をかけてみる。これは1を2へ誘導しているということ。
オムツを替える時、
「着物のすそをちょっと持っていてね」
とやるのは、4の段階であるし、終わって「ありがとうね」と声をかけてあげれば5の段階に近い。
また、余談ではあるが、女性は姓が変わっていることが多いから、名前で呼んであげるほうが良い。
以上、神田橋先生の『精神科講義』から抜粋したものを文語体に直してある。
精神科講義
久し振りに来てみましたら、神田橋先生の文章が紹介してありました。 私の通っていたカウンセリングの勉強会の主宰者が神田橋先生を尊敬している人でした。 その人がこの本のことを言っていたのですが、「講義」という言葉に恐れて、近寄っていませんでした。 私は別の他の人との共著を読んで、神田橋先生が普通の(?)他の医者とは(もちろん精神科の)違うようだとは思っていたのですが、そのときからでも20年以上が過ぎています。 思いがけず、いくつかの文章に接して、「これは読まなくちゃ」と、思わせられました。 ありがとうございます。
返信削除>SILVER7さん
削除神田橋先生の本はクセが強いというか、アクが濃いというか、そういうところがあるんですが、この本に関して言えば非常に読みやすくて面白かったです。