共依存について「やさしく」書かれた本。この「やさしく」は、「優しく」と「易しく」の両方である。
水澤先生には個人的に師事しており(こちらが勝手にそう思っているだけだが)、お人柄に感銘し、患者さんへの説明には刺激を受けている。
広く伝えたい言葉があったので、一部を引用する。
もし自分の生きづらさの理由が、子どものころの経験にあったと発見できたら、それは収穫です。その気づきが新しい人生をかたちづくるための糧になるからです。苦しい時間を生き抜いてきた子どもの自分に、「よくやったね、頑張ったじゃないか」と心の中で言ってあげましょう。もし出来たら、声に出して言ってあげましょう。幸せな人生をつくりあげるために、そうしてあげてください。
自分の外側に存在するもので心を満たすことは、しょせんできないと胸に刻みましょう。心にあいた穴を埋めることができるのは、あなた自身です。これらは共依存的な性質をもつにいたった成育歴や、そこからの脱却について語られた部分の抜粋である。
医療者をはじめ対人援助職といわれる職業の人たちには、共依存症的な性質をもつ人が少なからずいるというのは、わりとよく知られた話だろう。そういう人たちは、熱心になりすぎるあまり燃え尽き症候群に陥りやすい。そうならないために、水澤先生はこう語りかける。
セルフケアをすること。境界線を引くこと。仕事と私生活を分けること。これができるかできないかが、(対人援助)専門職かそうでないかの分かれ目です。これは、知識があるか、技術があるか、資格があるか、ということよりもずっと大切なことです。本書は万人に絶賛オススメというものではないが、対人援助職についている人は一読して損はなかろう。
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