相手と自分の考えが異なるとき、相手の言動を正そうとする「正したい反射」(Righting reflex)が起こる。この反射の結果、相手の言動はたいてい正されず、むしろ強化される。
こちらは「酒をやめさせたい」と考えているのに、相手が「酒はタバコより体に良い」と言ったとする。思わず「いや、最近の研究では……、それに程度問題もあるし……」など修正したくなる。ところが、この「正したい反射」を受けた相手は「研究ではそうかもしれないが~、それに程度の問題と言ったって~」と反論し、逆に飲酒行動が強化されてしまう。
医師はこうした「正したい反射」をグッと堪えないといけないが、だからといって、それは「放置」を意味するのではない。
では、どうすれば良いのか。その答えが「動機づけ面接」であり、どうやれば良いのかが本書に分かりやすく書いてある。
たとえば、生活習慣の改善を提案するとき。
「生活習慣の改善として、お酒を減らした人、禁煙した人、運動を始めた人がいます。どれができそうですか?」
「うーん、運動なら少しできそうかなぁ」
このように、3つ以上の選択肢を示すのが原則で、こうすることで相手が能動的に選択肢を吟味する。ところが、これを1つずつ提示するとどうなるか。
「お酒を減らすのは?」
「付き合いがあるし……」
「禁煙は?」
「いやー、周りもみんな吸っているし……」
「運動は?」
「時間があまり……」
受け身になり、それぞれに「できない」理由を探してしまう。
ここで紹介したのはごく一部で、本書にはもっとたくさんの「ナルホド!」が詰まっている。「医療職のための」と銘打ってはあるが、家族や友人関係にも応用できる考えかた、姿勢を学ぶことができる。もちろん、医療職にとっては非常に有意義な内容だ。
オススメ!!
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