2019年4月5日

今シーズンの映画ドラえもんを絶賛する人には読まれたくないレビュー 『映画ドラえもん のび太の月面探査記』

妻と小1長女、4歳次女、2歳三女の5人で観に行った。

ちまたの評判はけっこう良いが、俺も妻も「???」。

脚本は小説家の辻村深月。ネームバリューがありすぎて、映画に詳しい人がアドバイスできなかったのかなという印象。

映画は「省略の芸術」だ。本作は詰め込みすぎて間延びしていて、映画館では飽きた様子の子どももちらほらいた。子ども向けの映画で1時間51分はちょっとね……。

映画がDVDになるときノーカット版が出ることもあり、それを観ると、いかに劇場版がギリギリまで削っているかが分かる。そして、たいていの場合、劇場版が断然面白い。

ノーカット版は、劇場版でハマった人が趣味で観るのには良いが、ただ映画を楽しむという目的なら、間延びしない劇場版を勧める。

たとえば『ニュー・シネマ・パラダイス』。イタリアで上映された「オリジナル版」が155分。これは興行成績が振るわず、123分に短縮して国際公開すると大成功した。この名作を観ようとレンタル屋に行くと、173分のディレクターズカット版しか置いておらず、その間延び具合にゲンナリしてしまった。

他にも劇場版より長いディレクターズカット版を観たものはいくつかあるが、あんなに好きな『ロード・オブ・ザ・リング』でさえ退屈してしまった。

いままで観たディレクターズカット版で面白かったのはロメロの『ゾンビ』だけ。これはきっと俺がかなりのゾンビ好きだからだろう。

さて『ドラえもん』の話に戻ると、今回は「お約束」なはずののび太やジャイアンの活躍が非常に薄い。ダメっ子のび太やいじめっ子ジャイアンが、ピンチのときに見せる普段とは違う姿に胸打たれることが多いのだが、ちょっと拍子抜けしてしまうくらいに「いつもの彼ら」の枠を出ていない。

俺は少し期待しすぎてしまったようだ。

子どもらは「ドラえもん」というだけで楽しかったらしい。本当は星1つだが、子どもらに免じて1点をプラスしておく。

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