2019年5月27日

躁うつ病の芥川賞作家によるエッセイ集 『絲的ココロエ 「気の持ちよう」では治せない』


双極性障害(躁うつ病)のうち、明らかな躁状態を呈するⅠ型の当事者である著者が『こころの科学』に連載したエッセイをまとめたものである。
「受動的な状態では休養にならない。能動的でないとこころは休まらない」
「今日はサボるぞ」と決めて、他人に迷惑をかけない範囲でサボることは楽しい。
自分が躁状態だったときのことをまざまざと思い出すことは、この病気で一番つらいことである。(中略)うつのときに躁状態の行動を振り返ることは、過度の反省で「こころ」を壊すことにつながりかねないほどの負担となる。
など、臨床の場面で活かせそうな記述も多々ある。

エッセイ集なので読みごたえという点では物足りない。ただ、芥川賞をとるほど文章力のある当事者によるエッセイなので、当事者・家族・治療者ともに一読の価値はあるだろう。

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