2011年12月18日

妄想の移り変わり

どの本のどこに書いてあったかを失念したが、統合失調症患者の妄想の種類は、時間とともに変化していくらしい。最初は微小妄想から始まり、被害妄想、誇大妄想へと変わるのだとか。

ここからは完全に想像でしかない。


多くの統合失調症患者さんと接してきて、「この人は、きっと幼少時から、ある種の“生きにくさ”を感じていたんだろうな」と思うことが多い。そういう人たちが最初に手に入れる妄想が「微小妄想」なのかもしれない。

妄想は「自分を守るため」に生まれることがある。妄想によって心を守ったり、辛いことからの逃げ場にしたり、そういうことがある。

微小妄想とは、自己の価値や能力を低いと確信する妄想である。周囲の人との微妙なズレでうまく生きていけない彼らは、だからといって「周囲が全て悪い」と都合よく考えられるような柔軟さもなく、しかたなく自分自身を否定する妄想で自分を守ることになる。

どんなにお金があっても、「貧乏だから」「借金があるから」という貧困妄想。
何も罪を犯していないのに、「自分は罪深い人間だから」という罪業妄想。
健康であるにもかかわらず、「体に重病を抱えているから」という心気妄想。。

しかし、どうやらこの逃げ道も、長くは使えないものなのだろう。やはり、自分自身を現実以上に小さく評価し続けるというのは辛い。微小妄想は、徐々に被害妄想へと変化する。逃げ道の行き着く先、“逃げ場所”といったところか。自己を過剰に否定する妄想で心が折れてしまいそうになったとき、それまでは他者のせいにできなかった彼らも、「自分の今の状況は、他者から攻撃を受けているからだ」という妄想によって、ついに他者を責め始める。しかも、非現実的な内容に、強い確信を持って。それまで微小妄想で傷つけられた(実際には自分で傷つけているのだが)ことへの、反動なのかもしれない。

この被害妄想という逃げ場所も、やはりそれ単体では長く機能しない。彼らは被害妄想という“逃げ場所”に、誇大妄想という“防御壁”を築き上げる。誇大妄想とは、自分の能力や価値を過大評価する妄想である。自分が他者から攻撃を受けるのは、

「自分が高貴な生まれだからである」(血統妄想)
「自分が芸能人の誰某の恋人だからである」(恋愛妄想)
「自分が神から選ばれた者だからである」(選民妄想)

といった形で、自分の被害妄想を正当化する妄想を作り出す。

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