非常に長い小説だが、その評価はものすごく高い。それでもこの長さに気後れして手つかずだったが、未読の本を納める棚が占領される幅が図抜けているので、これはもう早めに攻略しようと思い立って読み始めた。
中国で憲兵をしていた主人公が敗戦後に戦犯となって、逃げまわらなくてはならなくなってしまう物語、と書くとあまりに陳腐だが、中身はもの凄く骨太。逃亡生活が緻密に描かれて、その様子に胸が絞られる感じさえした。
ただ、過去の思い出と現在を交互に行き来する流れは、時にスピード感を失わせてしまって、エンタテイメントだけを求めるならちょっと疲れるかもしれない。でもよくここまで調べ上げたなぁと、同業者(精神科医)として敬服してしまった。この著者は本来は作家になるべきだった人が、間違えて精神科医になってしまったというパターンだろうな。
戦犯の扱いなどに興味がある人は、ぜひ一読を。
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