後輩研修医の話。
引っ越した官舎は壁が薄く、時どき隣の住人の生活音が聞こえた。後輩には、特に気になる音があった。それは、隣人が毎日、同じ時間に体重計に乗ることだった。それもどうやら調子の悪いアナログ体重計のようで、キリキリカラカラという音が鳴るらしい。しかも、体重計に乗ったり降りたりしているようで、数分間ほどキリキリカラカラと鳴るのだとか。そして時どき、ドンドンという音もするらしく、
「体重計に乗り降りして、さらに運動までしているんですかねぇ」
酔っ払った顔で、後輩はそう言った。
後輩が、その音をどうして体重計と思ったのか、それは分からない。とにかく、後輩は酔った口調で、
「隣の人、なんで何回も体重計に乗るのか、変ですよね」
そう言った。すると、一緒に飲んでいた年配の看護師さんが、青ざめた顔で、
「先生の部屋って、○号室だよね。来たばっかりで知らないかもだけど、隣、空いてるよ」
後輩は笑いながら、
「じゃ、なんの音ですかね? 幽霊ですかね?」
そう言って酒を飲んでいた。看護師さんはまったく笑わず、
「先生の隣、前に看護師が自殺したのよ。首吊って」
どこにどう吊ったのかは分からない。ドアノブにかけたのか、天井にヒモをかける場所があったのか。一緒に飲んでいた数人で話し合った結果、もし音が幽霊のしわざだとしたら、キリキリカラカラという音は、縄が絞まったり緩んだりする時の音で、ドンドンというのは苦しくて床や壁を叩いている音じゃないのか、ということになった。
後輩は、涙目だった。
...怖い
返信削除キリキリカラカラ、ドンドンっていうカタカナ文字も又だからこそ怖い んだけど
本当のホントの話?
エイプリールフールにマンマとひっかかった私は、ちょい疑惑 苦笑
>junkoさん
削除これは、ホントの話です……。
いやいやいやいや!
返信削除自分も読んで涙目です。
>あー太
削除俺も夜に1人では読み返しませんw