2012年4月10日

ヤクザに追われた女性の話

だいぶ前、まだ妻が看護師だったころ、同じ寮に住む同期の女の子から相談を受け、それがそのまま俺に回ってきた。内容は、お金を貸してほしいというもので、その理由は彼氏(?)に必要だとのこと。相談してきた女性と彼とのメールを見せてもらったところ……、やたら長文。ちなみに、ちょっと面白かったので、コピーさせてもらっておいたのだ。

わい(ブログ主註:お前のこと)、○○(地名)の人間やろ?
うちの若が、お前がしつこいメールしてきたせいで、警察に発信場取られて自宅にガサ入りされて捕まったんじゃ!! わいの家も病院もこっちは全部わかりよるけんな!! 今日行かせてもらうからまちよけや!! わけわからん行動とっても家も病院もわかっとるけん、どっちにしろさらいに行くけんな!! 
親父が捕まってる今、わいのせいで若まで捕まって、どうしてくれるんや!! 若の保釈金出せや!! 若に8万貸してたらしいやんけ、だけんがこっちは感謝して挨拶行こうとしてたのに、わいのせいで若捕まったやないかい!! 保釈金20万払えるとや? 無理やろが!! なら10万払えや!! 明日昼までに若の口座にいれろ!! 無理なら無理でメールしてこい!! 
警察やらに言うても、こっちは明日○○(地名)の人間だしてさらいに行くからな!! わいも若に関わってたから暴力団関係者として警察に出しとるからな、へんな真似してたら一生○○(県名)かえれんくしたるからな!! 若の携帯からやないと、わいにメールできないから、こっちからメールしたは!!
絶句した。そして苦笑した。それだけでは済まず、腹抱えて笑った。どう見ても、これは彼氏の自作自演。どうやら設定としては、彼氏(若。どこかの組の御曹司という設定)は彼女からのメールがしつこいせいで警察に居場所を知られて逮捕。組長はすでに逮捕されていて、若の保釈金さえ出ない。だから、半額の10万円で良いから出せよコノヤロー、ということみたい。なんでこんなの信じるのかなぁと思っていたら、二通目があった。一通目がビックリマーク全開のムチなら、二通目はちょっとアメ。
俺らもな、いま組の人間が何人も捕まっててパニクってるんけんがよ、お前が若助けたことも全部聞いてるし、こっちは感謝してるけんがよ。ただ今回若が捕まってしもうてこっちからしたら、組がつぶれるかつぶれないかの危機やしな? 若しか口座おろせないから保釈金もだせないしで焦っとるんや。
お前の出方によってはこっちもお前ばさらって、風俗でも何でも海外に売り飛ばして金作らせにいくぞ! お前はいい奴わかっとるけど今回のことは本当に許せないから、今日10万いれろ。そしたら若が出てきて責任もって俺が組の講座(原文ママ)からおろして、お前のとこに若ともっていくは(註「いくわ」だと思われる。原文ママ)。それでお前に20万わたして若と縁きらせたる。
若さえでてきたら親父も保釈金で出れるし組もつぶれないですむ。お前に何かあったら助けたる。
わかったや?
なんで10万円も用立てできないような奴が、強気に、
「何かあったら助けたる」
とか言えるんだよ!! いま読み返してもニヤニヤしてしまう。

しかし、脅されている彼女は本気で悩んでいた。彼とどういう関係だったのかは知らないが、過去にお金を貸していて、今回また変なことで金をだまし取られようとしていることは確か。あんまり俺には関係ないけれど、妻が相談された以上、俺も黙って見過ごすわけにはいかない。メールを見た俺は、脅されている彼女に言った。
「100%、嘘だね。なんなら、俺が警察のふりして電話してやろうか?」
ホッとする彼女。

かと思いきや、彼女は怒った。怒鳴り散らすということはなかったけれど、物凄く不愉快になったみたいで、「もう良いです!」と言って帰って行った。俺はポカーンとしたが、妻は苦笑いしていた。そんなやり取りで、女心だなぁと思ったのだった。現実を突きつけられるより、騙されているほうが幸せだって時があるんだよね、きっと。

その後、若が出所できたかどうか定かではない。

4 件のコメント:

  1. 女性は、自分が好きになった人のことを悪く言われることは、とても辛く悲しいようです。たとえ人間として、「どうかな?」と思われるような男性であっても。
    たぶん、彼女はいまでも「あの人は、本当はいい人なんだ!」とおもっていることでしょう。

    私も過去に同じような経験をし、ある女性を悲しませてしまいました。
    同性のことは、ある程度その人間性はわかるつもりだったので。

    それ以来、そのようなことには一切関わらないようにしています。

    返信削除
    返信
    1. >海境惺さん
      「関わらない」これがもう非常に大切な鉄則ですよね。俺もそのスタンスを大事にしているんですが、この件では妻から来た話だったし、困っていそうだったから出したはずの助け舟だったのに、まさかの展開で唖然としました。
      俺が甘かったですw

      削除

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。