2012年5月13日



現実の俺を知っている人からすれば意外だと思われるだろうが、山が好きだ。中学生のころからだと思う。キャンプ用具も持たずに裏山に行って生活してみたい、そんなことを夢想したこともある。いま思えば、あまりに幼い考えではある。

遠足での登山は楽しかった。喉が渇くと川の水を飲んだ。「サバイバル」という言葉が好きだったのだ。しかし、そういう気持ちも高校生になると薄れ、大学時代にはほとんどなくなっていた。漠然と、ロッククライミングに憧れることはあったが。

精神科医になって最初の指導医と話していて、指導医が大学時代に登山部で雪山登山などもやっていたわりと本格的な「山屋」だということを知った。それでまたちょっと山に興味が出た。去年読んだ夢枕獏の『神々の山嶺』は衝撃的だった。山の魅力や恐ろしさを感じ、山岳小説を7冊買った。

本書は正確には小説ではなくノンフィクションだが、沢木耕太郎らしい淡々とした筆致で極限の状態が描かれ、季節は暖かくなってきているというのに雪山にいるかのような気分になってしまった。『凍』というタイトルではあるが、描かれる夫婦の山に向ける魂は熱い。

山好きにはお勧め。

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