2016年2月22日

加藤文太郎という山男の哀しさや切なさがじわじわと胸にくる 『孤高の人』


最初から最後まで、哀しさと切なさがつきまとった。これは司馬遼太郎の『胡蝶の夢』を読んだ時に感じたこころの動きと似ている。主人公である加藤文太郎の対人関係における不器用さと、そこに感じる読み手のもどかしさが、ひたすらこれでもかと続くのだ。

加藤が山で死ぬということは、上巻の冒頭で出てくるので分かっている。そんな加藤の10代からを丁寧に描写し、ようやく手に入れた幸せを加藤が味わう様子を活き活きと語っている。そして、その幸せを、加藤の不器用な生き方のせいで失ってしまう。

それらすべてが、哀しく、切ない。

もうすぐ冬が終わる。山岳小説は冬に読むのに限る。この冬最後の読書にどうぞ。

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