2016年3月30日

生活保護の福祉担当者と受給者をめぐる連作短編集 『死神』


生活保護を担当する福祉職員たちを主人公にした連作短編集。篠田節子はストーリーの組み立ても上手く、また人物描写も巧みなので読んでいて飽きることがない。

これまで読んできた篠田作品のほぼ全てで、ホロッとなることはほとんどなかった。本作でも、生活保護をめぐる厳しい現実と、呆れるくらいだらしない人たちの様子をビシビシと、時にはこちらが痛快になるほど切って捨てるように書き上げる。その思いきりの良さに好感が持てる。

また、本作にはホラーのような話も少しだけ入っており、それが「どうだ怖いだろう」と押しつけてくる感じではなく良いスパイスになっている。今後も良い作品を書き続けて欲しい、好きな作家の一人である。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。