『包帯クラブ』で天童荒太を知り、また感銘を受けたので
『悼む人』『永遠の仔』『家族狩り』なども読み、この小説家は寡作ながら良いものを書くと思っていた。しかし、残念ながら本書はとても良い作品とは言い難い。
特に中盤過ぎ、幼稚園生である妹の香が仲間と福島まで新幹線で行くくだりは、どうでも良いような出来事がダラダラダラダラと詳述され、読むのが非常に辛かった。また、小学校入学前の子どもたちの行動としてはあまりに不自然というか、ませているを通り越して非現実的なほど大人びていて、こんな子どもたちはいないよ、と苦笑するばかりであった。
とはいえ、さすが天童荒太。17歳の長男・誠の心理描写にはグッと迫るものがあった。小学6年生の次男・正二については、やや大人びているものの、非現実的とまではいかない程度。
音楽(耳)を失った長男、色(目)を失った次男、匂い(鼻)を失った長女という設定が、なんだかロールプレイングゲームのキャラ設定みたいで、すでにその時点で全体がチープになることが決定されていたのではないかと思うような話だった。
中盤以降は斜め読みで辛うじて読み終えた本で、まったくもって勧められない。
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