2016年7月11日

面白みのない食育なんかより効果的! 『おいしいハンバーガーのこわい話』


『ファストフードが世界を食いつくす』の著者が、前著をよりシンプルにして、10代の若者向けに書き直した本。とはいえ、内容は決して薄くなっておらず、我が子が10代であれば迷わず勧めて読ませたいと思うものだった。

世界的な大企業マクドナルドだが、最近の日本ではやや低迷している。キッカケは中国産のナゲット事件だった。そこから中国産食品の気持ち悪くなるような実態が、テレビやネットで一気に取り上げられた。当時はニュースを見ながら、中国の衛生観念のなさに呆れかえったものだが、前著と本書を読めば、あのナゲット事件の根っこには、中国の衛生観念のなさ以外にも、「精肉加工労働者の重労働と低賃金」という問題があるのだと分かる(ただし、中国の場合、それだけではないような気もするが……)。

肉の不衛生さは、なにも中国に限った話ではない。特にアメリカでは、肉の消費量がトンデモなく多いので、それに間に合うように、もの凄く多くの牛や鶏を殺し、そして解体・精肉しなければならない。牛の解体は流れ作業で役割が決まっており、1日1万回も同じ動きでナイフを振るう人もいるそうだ。当然、関節の故障も多いし、刃物によるケガも多い。死亡事故もある。そうした危険と常に隣り合わせで働いているにもかかわらず、低賃金。そりゃ「やってられねぇ」という気持ちにもなるというものだ。

こうした実情をちょっと刺激的に分かりやすく解説してくれる本書のほうが、あまり面白みのない食育なんかより効果的なんじゃないのかな。

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