2017年5月24日

優しいだけでは精神科医は務まらない。しかし、優しさがなければ精神科医として良い仕事はできない。精神科医・中沢正夫のこころあたたまる臨床エッセイ集 『こころの医者のフィールド・ノート』

優しいだけでは精神科医は務まらない。しかし、優しさがなければ精神科医として良い仕事はできない。


著者である精神科医・中沢正夫の眼差しはあたたかく、とても優しい。内容は最初から最後まで、専門家でなくても充分に理解可能なものである。印象深いエピソードもたくさんあった。絶版であるため、愛蔵書として大切に保管しておく。

ところで、わりと古い本なので、精神病患者をさして「キチガイ」という言葉が何度も出てくる。文章全体からあたたかくて優しい人柄がにじみ出てくる中沢医師にあってさえ、病者を「キチガイ」と表現するような時代があったのだと、妙なところで唸ってしまった。

なお、精神病者をさして「キチガイ」という言葉を用いるのには大反対だが、この「キチガイ」という言葉そのものをタブー視するのもイヤで、俺はむしろ好きな言葉でさえある。「キチガイ」としか表現しようのない非精神病者(特に殺人犯)を呼ぶのに、これ以上にしっくりくる言葉もないからだ。

本書にあった特に印象深いエピソードについてのツイッター反応は、@CookDrakeさんがまとめてくださっており、大反響を呼んでいる。ぜひ参考にどうぞ。
お忍びで精神病棟に入院した医学生が見たものは…そして彼の選んだ道は?「怖い」「身につまされる」絶版本のツイートに反応多数

ところで、バッハは半ば忘れられた存在になっていたところ、メンデルスゾーンによって「再発見」されて今くらい知られるようになった、という話がある。同じように、中沢先生の本の多くが絶版になっているが、これを機に再発見・再評価され再版なんてことになれば、俺がこうして紹介した意義は大きいだろう。

なんてことを書いたのが5月のことだが、なんとその後、ちくま書店の編集部のかたから連絡をいただき、本書が大反響だったことを受けて復刊再版が決定したとのこと。

読書界のメンデルスゾーン、きたかもしれないYo!\(^o^)/

古本は破格の高値になっているけれど、近日中に正当な値段で新品が買えるはずなので、慌てて古本に手を出すことがないように!!

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