2017年5月9日

森達也のウジウジが、ハマるか、受けつけないか、あなたはどっちだ!? 『オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ』


ドキュメンタリー作家の森達也が、超能力やUFO、幽霊といったオカルトについて「ああでもない、こうでもない」と自問し、自答し、行ったり来たりしながら、ひたすら煩悶し続ける本である。最後まで何の結論も出ないのだが、そもそもオカルトについて「結論」なんてものはないのだから、仕方がない。

森はこれまでの作品でも、こういう「仕方なさ」に真摯に真正面から向き合ってきた。つまり、ほとんどの作品が「行ったり来たりのウジウジ調」ということである。この煮えきらなさをまったく受けつけられない人はたくさんいるだろうし、そういう人は途中で読むのを投げだしたくなるかもしれない。ところが逆に、このウジウジした感じが少しでもハマるとクセになる。読みながら、自分も一緒になってウジウジしてきて、それが妙な具合に心地良いのだから不思議だ。

森がオウム真理教について書いた本『A3』は、このウジウジ節が見事に炸裂した名著だし、『放送禁止歌』『職業欄はエスパー』『死刑』もウジウジとして読み応えのある良い本だった。社会生活の日陰な部分に目を向けて、ウジウジしながらしつこくほじくり返す姿勢を崩さない森達也は、今の日本メディアに不可欠な人材ではなかろうか。

褒めているのか貶しているのか分からないが、こういう煮え切らないウジウジしたレビューこそ、森達也の本にはふさわしい。

<関連>
いま、読め。 『A3』
放送禁止歌
To believe, or not to believe: that is the question. 『職業欄はエスパー』
死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う

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