『亡国のイージス』が強烈に面白かった福井晴敏による短編集。すべて「市ヶ谷」が絡んでくる、と言えば、『イージス』を読んだ人にはピンとくるだろう。
どれも面白く、Amazonレビューでの評価も高いのだが、一つだけ「ん?」というものがある。レビュワーも褒めているものが多い最終話『920を待ちながら』が、どうにもしっくりこない。筋立ては面白いのだが、伏線の張りかたがどうにも腑に落ちない、というか、率直に言えば、これ破綻してない?
ネタバレになるので詳しくは書かないが、「どうしてあそこでこんな描写が……?」と首を傾げてしまった。思わずその部分を読み直したほどだ。「終盤まで書いた時点で、よりドラマチックなトリックを思いついて結末変更したが、途中の文章をそのままにしてしまった」という感じ。
とても面白かっただけに、なんだか惜しまれる。
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