2018年1月4日

モッキンポット師の優しさに胸温まりつつ、ところどころのユーモアで吹き出す 『モッキンポット師の後始末』


井上ひさしの自伝的小説。当時の貧しい大学生活がユーモラスに描かれ、ところどころで思わず吹き出した。

モッキンポット師は主人公の後見人で、大学教授でもある。主人公たちの度の過ぎた悪ふざけを、モッキンポット師は文句タラタラこぼしながらも後始末してくれる。悪ふざけといっても決して悪意からではなく、実は当人らにとって衣食住のための切実な行動であり、それが一般的尺度から外れすぎてトラブルに至ってしまうのだ。そんな事情も分かっているからこそ、モッキンポット師は彼らを決して見放さず、温かく見守る。

ユーモア小説というのだろうか。いわゆる「泣ける話」ではないが、ほんのりと心温まるような話だった。

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