「死刑執行人」というから、どんな非情で恐ろしい人物かと思って読み始めたが、これがぜんぜん違っていた。この先入観、偏見こそ、本書の主人公シャルル=アンリ・サンソンが当時受けていたのと同じものだろう。予備知識なしとはいえ、自らの内にある偏見を恥じた。
サンソン一族は200年にわたって死刑執行人を務めたという。シャルル=アンリは4代目当主であり、ルイ16世を敬愛しており、そしてフランス革命のときに、その敬愛するルイ16世に死刑を執行した人物である。そのときの苦悩や葛藤も本書では描かれている。
文章は読みやすくて飽きさせない。主人公は魅力的。全章を通じて、まるで小説を読んでいるような感覚であった。もちろん、題材が死刑執行人なので、残酷な描写はところどころあった。読みながら、首筋のあたりがひんやりしたことは確かである。そういうのが苦手な人は読まないほうが良いかもしれない。
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