2018年10月29日

酒に振りまわされた人たちの物語 『酔うひと 徳利底の看護譚』


酒害は、飲んだ張本人だけを苦しめるわけではない。その苦しみは家族にもおよぶ。それどころか、家族の苦しみは、時に本人以上となることさえある。

この文章を書いている現在、断酒して12ヶ月になる。自らの酒歴を振り返ると、ゾッとすることがある。それはまるで、渓谷にかかる手すりのない細い橋を歩いてきたようなもので、いま現在こうして健康に家族と暮らしていけるのは、かろうじて落ちることなく断酒にたどり着けたからである。

本書に登場するのも、細い橋の上をふらふらと歩く人たちである。「酔う人」も「支える人」も決して他人ごとではないので、読んでいてしみじみと感じ、考えさせられた。とても良い本で、お勧めである。

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