2019年5月2日

死んだ少年が幽霊として現世に……。ありきたりなのに惹きつけられる 『青空のむこう』


交通事故で死んでしまった少年が、思い残したことをやりとげるため現世に戻ってくる。

と書くと、いかにもありきたりで陳腐に感じられるかもしれないが、読んでみると、ありきたりで陳腐なストーリーである。

ところが、お喋り少年らしいユーモアを交えながら一人称で進んでいく物語は、どことなく読み手を惹きつけ、飽きさせない。そして、要所要所で少年の寂しく切ない気持ちに共感させる。

分量が多くなく、コンパクトである点も良い。

胸が締めつけられるような感動小説ではないが、こういう本が広く読まれると良いなと感じさせる内容だった。

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