2015年3月18日

あなたが伝えたいこと、本当に伝わっている!? 『アイデアのちから』

あなたが伝えたいことは、本当に相手に伝わっているだろうか?

「叩き手」と「聴き手」という実験ゲームがある。叩き手は、「ハッピー・バースデー」や「メリーさんの羊」など誰でも知っているような25曲のリストの中から1曲を選び、声を出さずにリズムだけ、指で机を叩く。聴き手は、そのリズムを聞いて音楽を当てる。

聴き手が答える前に、叩き手に正答率を予測させたところ、予想正答率は50%だった。実際にはどうだったのかというと、120曲のうち正解はたった3曲、2.5%だけであった。

叩き手には曲名(知識)が与えられており、リズムを叩く時には頭の中でその音楽が流れている。しかし聴き手にしてみれば、モールス信号のようなコツコツという脈絡のない音を聞かされているだけで、そこから正確な曲名を推測するのは至極困難である。叩き手がそのことに気づかないと、自分の伝えたいことはちゃんと伝わっていると誤解したままになってしまう。

「叩き手」を「話し手」に置き換えても、同じようなことが言える。


本書では、上記のように、自分の知識を他人と共有することの難しさを「知の呪縛」と呼んでいる。「知っている者」から「知らない者」へ知識を伝えるのは並大抵のことではないのだ。そしてこれは、医療全般において使える考え方のヒントでもある。

本書はこうしたヒント満載の本であった。

ちなみに上記実験は1990年にスタンフォード大学で行なわれたものである。

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