2018年11月8日

中井久夫という魅力的な星の猿マネをすることなかれ 『「伝える」ことと「伝わる」こと』


精神科医・中井久夫の論文・エッセイ集。自分にとって必要な部分を読んだ。以下、読んだタイトルを記載する。これが購入検討する人の参考にもなると思う。
  • 統合失調症患者の回復過程と社会復帰について
  • 精神科の病いと身体 - 主として統合失調症について
  • 解体か分裂か - 「精神=身体と“バベルの塔”」という課題に答えて
  • 神経症概念から出発して精神科疾病概念を吟味する
  • 発達神経症と退行神経症
  • 統合失調症における「焦慮」と「余裕」
  • 精神病水準の患者治療の際にこうむること - ありうる反作用とその馴致(じゅんち)
  • 統合失調症者の言語
  • 関係念慮とアンテナ感覚 - 急性患者との対話における一種の座標変換とその意味について
  • 禁煙の方法について - 私的マニュアルより
  • 看護における科学性と個別性
  • 「伝える」ことと「伝わる」こと
  • 笑いの機構と心身への効果
  • 「こころのケア」とは何か
かつて指導医Y先生に、
「研修医時代に中井先生の本を読んで精神科医を志した」
という話をしたところ、
「あの人は天才だから。マネをしないように」
と言われた。当時はピンとこなかったのだが、あれから臨床経験を重ねるにつれて、Y先生の言わんとするところがなんとなく分かるようになった気がする。Y先生の短い発言に込められた思いは3つある(もしかしたらもっとあるのかもしれないが)。

1. 猿マネをするな。
2. マネをしてうまくいかなかったとしても、落胆しすぎるな。ルーキーがベテランの天才と同じことをして、うまくいかなくても当然である。
3. マネではなく、自分なりのものを築け。

Y先生が転勤されて数ヶ月後、二人で飲んだ際、あれこれと相談したり話し込んだりした。そのときに、Y先生から、
「指導医がいなくなっても、きちんとした診療をしているようで安心した」
という言葉を頂いた。なにより嬉しい一言で、いまでも自分の支えになっている。

Y先生の期待を裏切らぬよう、今後も精進。

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