2012年8月28日

「愛されたい」を拒絶される子どもたち―虐待ケアへの挑戦

「愛されたい」を拒絶される子どもたち―虐待ケアへの挑戦

子ども虐待が起こると、社会の目は傷ついた子どもに向かう。子どもに視点を置くと、養育者を許し難くなる。虐待を起こした人を厳しく罰するべきだという意見は、ここから出てくるのだろう。
しかし、さまざまな事例に関わってみると、うまく子育てできない理由を養育者が抱えているのを経験する。我が子が社会に出て恥ずかしくないように、と厳しくしつけたことが、結果的に虐待となってしまったケースもある。それを知る人たちは、養育者には罰よりも支援が必要であり、課題や問題に取り組むことで家庭を良い方向に向かわせようと考える。
罰か、支援か、あるいはその折衷案を見つけるか。議論は今も続いている。
イジメの問題に関する議論でも、まったく同じような状況を目の当たりにした。被害者と加害者がいるような事案では、周囲の人間は常に自分の視点の置き所を意識しておかないとただの巻き込まれになってしまう。

この本は、虐待の現場そのものではなく、そこからいかにして立ち直っていったか、それをどう援助していったかということについて、主に2例のケースレポートである。虐待現場の生々しさより、虐待後にあらわれる子どもの心理的発達の障害とその治療に焦点が当てられている。

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