2014年3月25日

「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる

2001年に起きた米国同時多発テロのあと、アメリカ国民は飛行機の利用を避け、かわりに自動車で移動するようになった。飛行機事故での年間の死亡数は全世界で1000人前後である。これに対し、推計によると、飛行機ではなく自動車移動を選んだことによる交通事故者はテロ後1年間で約1600人にのぼるらしい。

我々は日常生活でリスクを読み誤る。リスクを避けるために直感的に正しいと感じたものが、統計的に分析してみると逆にハイリスクだった、ということがあったとしても、それでも我々は直感に引きずられる。それは、山で、森で、砂漠で、海で、川で、ヒトがとっさの判断を駆使して他の生物や自然現象と対峙し勝利してきた名残だろう。高度化されていない世界では、ヒトが生き残るためには直感が非常に大切な能力だったのだ。

統計を駆使するようになったヒトは、今度は統計で嘘をつくようになる。
「足の長さと成績のよさは比例する。あらゆる年代の人に算数の問題を解いてもらったところ、足の長い人ほど成績が高かったのだ」
バカげた話に見えるかもしれないが、これは統計的に正しい。ただし「あらゆる年代」という点をきちんと考慮に入れれば、小学生より高校生が算数が解けるのは当然だと気づく。

「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる
上記は本書の記述から拾ったもの。前半から中盤にかけて非常に面白かったにもかかわらず、福島の原発問題に執着しすぎて本書のテーマがぼけまくり。全体で7章260ページあるうち、原発を扱った第7章が64ページ、約4分の1を占めるのは、いくらなんでもやりすぎだ。ふざけんなこのヤローと最後は飛ばし読みして、全体評価は★3つ。

家族に読ませるために蔵書。

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