2014年8月26日

乳がん検診は、リスクのない20代30代には不利益のほうが多い!

乳がん検診では、40代でも、乳房にメスを入れる精密検査まで受けるに至った7人のうち、4人(50%以上!)は癌ではない(偽陽性)。こういう事実をしっかり伝えることが本当の乳がん啓蒙活動だろう。乳がんの怖さを伝えまくって、「マンモグラフィ受けましょう!」ではなく、偽陽性の実態も伝える。どんな検査であれ偽陽性は絶対にある。一般人はそうしたことを知らされた上で、自分の人生の価値観と見比べて、検査を受けるかどうかを決めないといけない。

例えば上記の生検を受けた40代7人のうち4人は癌の恐怖にムダに怯え、不必要な傷を乳房につけたということになるが、偽陽性の確率を知らされた上でなら、
「それで安心感を買うと思えば安いもの」
と検査を受けるか、
「乳房に傷をつけるのは、もう少し偽陽性が減る年齢まで待とう」
と思い止まるか、どちらにしても自分で考えて決められる。

我が家では、1年くらい前にリスクファクターの一切ない当時26歳の妻が、
「乳がん検診を受けないといけないかなぁ」
と言い出したので、理由も含め説明して止めた。その時に妻はテレビで見た話をしてくれたのだが、若くして乳がんで亡くなった人をセンセーショナルに報じるマスコミの影響力を強く感じた。あれはレアケースであり、若くて悲劇的だからマスコミネタになるわけで、乳がん全体の事実を伝えているわけではない。

乳がんも含めたガン全般の最大のリスクファクターは「年齢」。一部例外はあるものの、高齢になるほど癌になりやすい。その他のリスクのない若者が不要に恐れる必要はない。というか、そうやって不必要に不安を煽るマスコミは害悪である。

<参考>
乳がん検診、若い女性が受けた場合に不利益も
「がん検診は、早期発見で死亡率が下がるという科学的根拠がある検診のみ有効と考えます。乳がんの場合、マンモ検診は40歳以降は有効ですが、40歳未満の有効性は証明されていません」
そればかりか、がん検診は一旦受けると、必ず不利益が生じるといいます。不利益とは、例えば「偽陽性」の問題。がん検診を受けると必ず、ある割合で陽性(がんの疑いあり)が出ますが、本当にがんの人は、乳がん罹患率(りかんりつ、疾病の発生率)の高い40代でもわずか0.2~0.3%。残りは「偽陽性」です。
「偽陽性の場合、がんかどうかを確認するために精密検査を受け、結果を待つ間、不必要に精神的な苦痛を受けることになります。さらに、本当にがんがあったとしても、その中には進行しないがんが一定の割合で含まれます。でもがんが見つかった以上、治療しますし、その人はがん患者となってしまう。これを『過剰診断』といいます。検診をしなければ生じなかった『偽陽性』や『過剰診断』は個人にとって大きな不利益です」

若い人が乳がん検診を受けることの主な「不利益」
1. 若い人では検診の有効性はない、または期待できない
2. 若い人は乳腺密度が濃くマンモグラフィー検診では「偽陽性」の発生が増えがち
3. 確定診断までの不安は、相当な精神的ストレス
4. 偽陽性だった場合、不必要な検査や治療を受けることになる
5. 進行しないがんが発見される可能性もある

■家族性乳がんの可能性がある人、自覚症状のある人は、若くても別対応で検診の検討を
あなたは「乳がんハイリスク」? チェック
□ 40歳未満で乳がんを発症した血縁者がいる
□ 年齢を問わず、卵巣がんになった血縁者がいる
□ 年齢を問わず、血縁者に原発乳がんを2個以上発症した人がいる
□ 血縁者に男性乳がんになった人がいる
□ 乳がんになった血縁者が自分を含め3人以上いる
□ BRCAという遺伝性乳がんの遺伝子変異が確認された血縁者がいる
□ 抗がん薬、分子標的薬、ホルモン療法薬のいずれもの治療が難しい(トリプルネガティブ)といわれた乳がんの血縁者がいる
リスク・リテラシーが身につく統計的思考法―初歩からベイズ推定まで

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