慈恵医大病院で腎臓結石破砕から数ヶ月後のアフターケア診断。10:30予約でピッタリに行ったのに未だ診察待ち。次の仕事に間に合わないので診断受けずに1080円払って退散。やっぱダメだな日本の医療業界。安かろう悪かろう。医療保険制度の改革も必要だし、病院経営も改める所多し。
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) 2014, 5月 9
人の時間を何だと思ってるんだ?って事。寿命を伸ばしに来てるのに待ち時間で人生を浪費するという矛盾 RT @hidex97: これはホント思いますね。遅れるならメールでもラインでも良いから一言くれればこっちも調整出来るんだよと。何の為の予約だよと。
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) 2014, 5月 9
ごもっともな意見ではあるのだが、医師の立場から現状を説明しておきたい。
まず、この問題の根本的な解決策はずっと以前から存在している。
「予約枠を少なくし、どんな状況にも融通をきかさない」
これ一発で即解決だ。ただし、そうすると患者が予約をとる段階で「予約が一杯」と断られることが激増するだろう。また、午前中しか病院に来れない人にも、「午前はどこも空いていません。16時半なら大丈夫です」という対応をせざるを得なくなる。そのかわり、皆さんが大嫌いな「待ち時間」はほとんどなくなる。
例えばうちの外来は、当初30分で5人枠だった。しかし、それでは入りきらないので30分8人枠になってしまった。朝一からギュウギュウ詰めである。30分で8人みるのは不可能なので、少しずつ時間がおしていく。後の患者の待ち時間は延びていく。そして次回の予約をとる時に、
「(朝一の)9時半はもう一杯だから、10時で良いですか?」
と頼んでみるが、
「いや、9時半で」
そうピシャリと言われてしまうことが多い。押し問答している時間が勿体ないので、8人枠に9人目を入れることになる。
医療側としては、「融通をきかせて、そのかわり待ち時間が長くなる」か、「待ち時間を減らすために、徹底的に融通をきかさない」か、正直どちらでも良いのである。なぜなら、どちらにしても、「待ち時間が長い!」と怒られるか、「少しくらい融通をきかせても良いじゃないか!」とキレられるか、そういうクレームの来るのが目に見えているからだ。
少し考えを発展させてみる。制度上の問題はさておいて、長い待ち時間の解決策として、「順番を一人ぶん繰り上げるのに1000円負担する」というのを考えた。その1000円は、繰り下げられた人の診療費から差し引くのだ。30分早くみてほしければ、5~10人くらいを飛ばすだろうから5000円から1万円が必要だ。
こうすれば、医療者はクレームが減り、長く待つのが嫌な金持ちはいくらか払って時間を買えるし、待てる人は自分の時間を1000円に換金できる。皆が少しずつハッピーになれる。これには、「朝一で並んで次々と後ろの人を抜かせて稼ぐ人が出るのでは?」という反論もあるだろうが、よく考えてみて欲しい。朝一に並んだら、ほとんど待たずに診察に入るので稼ぎようがない。お金を出して追い抜くほうも、3人待ちくらいなら我慢するだろう。逆に30人待ちを3万円払ってすっ飛ばすような人も稀だろう。そしてこの1000円は払い戻し制ではなく、あくまでも「診療代から引く」だけなので、早く並んだからといって、その人が儲けるわけではない。もちろん、病院の利益も変わらない。
こんなシステムを作ったところで、利用する人はほとんどいないかもしれない。しかし、それでも良い。要は、待たされる人に「状況を自分で選択させる」ことが重要なのだ。「金を払って早くみてもらう」という選択肢があるにも関わらず、「金を払わずに待つ」ことを選んだ。この感覚があるだけで、待ち時間に対するクレームは大幅に減るだろう。病院側としても、もしクレームがあっても「こういう選択肢がありますよ」と提示すれば済むので助かる。
このあたりの考えは、渋滞を研究した下記の本に大きく影響を受けている。
この本で述べられていたことで参考にしたのは、「都市部の渋滞をどう解消するか」について。都市部で渋滞している車の多くは駐車場を探してグルグル回っているらしい。駐車場は安値合戦となっているが、渋滞緩和のためには駐車場代を大幅に上げるよう提案している。そうすると車が減って渋滞は解消され、バスなどの公共交通機関の利用者が増え、利用者が増えると運賃やルートなどの利便性が改善されるのだ。
なんにしろ、堀江さん、良い思考ネタをありがとう。
<関連>
あなたの集中力と注意力が試される! 白いチームのパスをカウントせよ!! 『となりの車線はなぜスイスイ進むのか?』
<参考>
なんかいい具合に病院の待ち時間ネタが炎上しておるな。
難しい問題ですね・・・
返信削除思い出されるのは、私が子供の頃に行っていた歯医者さん。
小学校の門を出て5秒ほどで行けて、お父さんのように頼りになる先生。当時は予約なんてなく、待ち時間は平均で1時間。まだ時間の余裕がある時代でしたね。
そういえば、ピアノのレッスンも待たされるのは常でした。先生が良かったので、あまり気にしませんでしたけど。良い先生は、患者(生徒)にも丁寧でしたね。待たされてもそんな先生にかかりたい、というのも選択の一つかも。敬意や感謝が入る余地はありますか。なんてね。
>なおこさん
削除1時間以上待ってでも受診したい、そう思われる主治医になりたいです!
こんばんは。
返信削除いちはさんの予約枠内の数を減らす方法、良いと思います。
いっそ、リハビリのように、一回の時間を決めてしまってはどうでしょう?
1診察=20分。
それ以上かかる場合は予約を取り直しです。
もちろん、レントゲンも採血も完全予約制へ。
外来の医師は、入院患者を診てはいけません。
予約時間が狂いますから。
救急も診てはいけません。
そうなると、外来、入院、救急は完全に分化。医師も看護師も事務員もコメディカルも、3倍必要ですよね。
もちろん、設備も3倍。
そのかわり、外来、検査予約は全ての病院についてネットで空きが見れるようにして、
急いでる人、希望時間が決まってる人は、空いている予約枠を求めて遠方の病院へ行けばいい。
医療費、どのくらい上がりますかね?
3倍?
でも、これで予約の通りに診察が受けられるので、ホリエモンさんの希望にはかなうのでは…(^^)
待ち時間についてのクレームが減って、ストレスが一つ減りそう…
と妄想して、ズラズラと書いてしまいましたm(_ _)m
予約枠の売買が自然と発生して、ダフ屋なんかもでるかもしれませんね。
そうなるとコンビニ受診のように救急が、混むでしょうから、
救急には専門のトリアージする人を常駐させましょう。
間違っても罪には問われないように法整備も必要ですよね。
すみません。妄想が止まらないです…(^_^;)
いつも楽しみに(もしくは考えさせられて)読んでいますが、今回は妄想がとまりません。
>かるがもさん
削除こういう妄想って、建設的ですごく好きですよ!!
個人のクリニックでは、特別予約というのをやっているところもあるようですね。
返信削除別料金を徴収する代わりに、予約時間から30分以内に診察する、という感じで。
毎時1人だけ枠を取って、実施しているみたいです。
枠があることを知らないユーザーからはクレームも出るでしょうし、上手く行っているのかどうかはわかりませんが。
忙しい人なら、お金を出しても早く診てもらいたい、と思うでしょうね。
いちはさま
返信削除個人的にはうーん、みなさんそんなに病院の待ち時間に目くじらたてなくても…と思っています。
確かにお忙しい方には「無駄な時間」と感じられるのかもしれませんが「待ち時間も含めて病院の時間」と考えれば良いのではないでしょうか。
読書するもよし、勉強するもよし、ゲームするもよし、調子悪かったら寝ていてもよし、少し待合を離れてお茶してくるもよし。
時間の使い方は自分次第でいかようにもアレンジできます。
待つこともあれば人を待たせてしまうこともある。それはお互い様なのだし、もっとみなさんゆ~ったり構えてみてはどうなのかな…
(すみません、本題からちょっとズレてしまったコメントになりました)
それよりもあれだけの患者さんが待っている中、決められた枠の中で外来業務を行っている医師の方がいくら仕事とはいえ、ずーっと辟易しているのではないか、と心配になります。
ただただ「自分は待たされている」とイライラするばかりではなく、そこに思いを巡らせる感性を持っていたいものです。
一案としては面白いな、と思いました。
返信削除ただこれもずっと前から問題にされてる様に、採用されるとやり過ぎる医者も出て医療が商業主義にならないか心配です(杞憂でしょうか?)。上記のコメント欄みたいに、人数を決めてやるのはいいかもなと思いました。