2019年7月12日

非専門医にやさしい糖尿病の本 『ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック』


精神科に通う患者さんの中には、糖尿病を患っている人がけっこういる。統合失調症ではもともとの耐糖能に問題があるという説もあるし、抗精神病薬が影響していることもある。また、うつ病や躁うつ病での過食、一部の抗うつ薬による食欲増進も、糖尿病や耐糖能異常に関係する。

定期的な採血で糖尿病が見つかった人に内科受診を勧めても、「時間がない」「面倒くさい」「ここで(薬を)出して欲しい」と言われることが多い。このように、「精神科だけを受診している人」に対して、精神科医は身体面でも「かかりつけ医」の役割を担わなければいけないときが多々ある。そこで、糖尿病に関して良い本を探したところ本書を発見。

第1章で真っ先に、
実践的な糖尿病診療ハンドブックを目指したため、糖尿病の診断・分類・各種コントロールの指標・問診など通常の教科書に記載されている総論的な内容はあえて省略した。
と書いてある。この思いきりが素晴らしい。

登場する糖尿病治療薬については一般名だけでなく商品名も記載されている。これは非専門医にとっては非常にありがたい。日ごろ縁のない薬の一般名しか書いていないテキストは、高尚には見えるけれど、とっつきにくいものである。

内科一般医にとって有用なのはもちろんだが、外科系の医師にとっても『手術前後での血糖コントロール』と題して「周術期コントロールのエビデンス」「術前に把握すべきこと」「周術期血糖コントロールの実際」に分けて解説してあり、一読の価値があるのではなかろうか。

※上記レビューは「Ver.2」のもの。

4 件のコメント:

  1. 私もこの本はVer.1から買っています。たいへんためになり、臨床で迷わなくなりました。
    メトホルミンの高評価は、知ってはいましたが、成書になっていると、他人に根拠を伝える手間が省けます。

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    1. >inoue04さん
      この本を読んでからというもの、うちの内科の先生の糖尿病治療を眺めつつ「?」と思うことも出てきました^_^;
      でも餅は餅屋。
      こちらは初心者なりにスタンダードだけで治療を進めていくべしと割り切っています。

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    2. たぶん、その内科医には自分なりの根拠があるんですから、それはそれでいい。
      あらゆる医療行為には「根拠」が必要です。根拠がないと、不幸な結果になった場合に言い訳ができない。その一つがこの本だと思うと、いくぶん安心して糖尿病の管理ができるのです。

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    3. >inoue04さん
      「自分なりの根拠」
      まさにそれですね。精神科でも、ルーキー先生には、看護師や患者に、「自分なりの理由」を説明できるよう指導しています。

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