2015年3月31日

アッと驚くラストや社会風刺のきいた短編小説 『鼻』


社会風刺のきいたものや、アッと驚くラストのミステリ(?)ありの短編集。特に表題作『鼻』は、俺としては実に面白かった。この作者の本はこれで2冊目で、あと1冊を積読している。文字数は多くないので読むのに時間はかからない。

2015年3月30日

現場ではない周りの環境・風景にも目を向けろ 『12番目のカード』


犯行現場の鑑識に入る前に、現場ではない周りの環境・風景にも目を向けるんだ。そこから重大な事実を得られることもある」

これは脊髄損傷によって、首から下が動かなくなった天才鑑識員リンカーン・ライムが、弟子であり恋人でもあるアメリア・サックス(映画ではアンジェリーナ・ジョリー)に与えたアドバイスで、我々医療従事者にとっても有意義な考え方である。

これでこのシリーズを読むのは3冊目になるが、やはり面白い。まずミステリとしての伏線と伏線回収、どんでん返しが優れている。本書はこれでもかというくらい引っくり返される。それから、人間をよく描いている。単に仕掛け重視な小説ではなく、人の心の中を描こうとしているところが良い。その他にも、随所に著者の博識ぶりがちりばめられていて、なんとも唸らせられる小説である。

ただラスボスの行動は日本ではあまり考えられないものだったが……。

2015年3月27日

ニッポンの書評


このブログは書評ブログではないが、連日のように読んだ本の感想や紹介を書いている。そして本書はそういう匿名の書評(のようなもの)を無責任、卑怯だという。

ふざけんなこのヤロウ。

こちらは本を読むのに金を払っている。プロ作家は文章を書いて金をもらっている。読者が読んで面白くなければ、それをそのまま感想として書く。それのどこが卑怯なのだ。

こんなことを書くと、金を払えば何を言っても良いのか、という批判を受けそうだ。確かにどんなレストランや食堂に行っても、食べ終わったら「ごちそうさま」と言う。でも美味しくなかったら二度と行かないし、それは他の人にもアドバイスしたくなる。それが人情。まぁ食べログ問題のように、食べずに批評だけ書くというのは卑怯だが。

そもそも、金をもらって本を書くプロの物書きが、
「面白くなかったなんて匿名で書くな、卑怯者!」
と批難するのはあまりに情けない。もちろん、品性下劣な文章で著者をこき下ろすなんてのは、書評うんぬん以前の問題で、そういうことをするのは低俗だとは思うけれど、本の中身に関してはいくらでも正直に書いて良いはずだ。

とにかくもう、ふざけんなこのヤロウ、という本だった。

2015年3月26日

暗号解読


暗号に興味があったわけではないが、『フェルマーの最終定理』『代替医療解剖』でサイモン・シンの実力は分かっていたので、今回も期待して読み始めて、やはり彼の凄さに唸らされた。

最終章の量子暗号のあたりは難解で少しすっ飛ばした。

文庫版のちょっとだけ残念なところは、本文中の注釈である「補遺」がすべて下巻に納められていること。上巻だけ持ち歩いていた時には同時進行的に補遺を読めなかった。とはいえ、それを差っ引いても素晴らしい本だった。

2015年3月25日

神様の御用人


野球をあきらめ、おまけに就職先まで失った萩原良彦。彼がある日突然命じられたのは、神様の願いを聞く“御用人"の役目だった。人間味溢れる日本中の神様に振り回され東奔西走する、ハートウォーミング神様物語。
ストーリーは可もなく不可もない。
ただ、語彙や文章をもう少し鍛えてほしい。たとえば語彙に関しては、「胡乱な目で」というフレーズが、本文中に何度となく出てくる。こんな短いラノベで、そんな目立つ言い回しを繰り返すと、
「ああ、作者ってこの語句を使ってみたかったのねぇ」
という変な感想が漏れてしまう。

文章については、クライマックスで妙にセンチメンタルな文で盛り上げようとしてくるのが鼻につく。著者の気持ちがヒートアップしているのは伝わってくるが、読者としては無理やり「ここ感動するところ!」と押しつけられているようで逆にしらける。

続編も出ているようだが、買わない。