とりあえず俺と踊ろう
一歩踏み出せば、一歩ぶんだけ眺めが変わるよ。
2018年12月21日
読むと体が冷えてくる! 『八甲田山死の彷徨』
史実をもとにした山岳小説。それも199名が遭難死したという雪山遭難小説である。
こういう小説は寒い季節に読むに限る。外で吹きすさぶ北風の音を聞きながらの雪山小説は、暖かい部屋にいてさえ、なんだか自分の体がゾクゾクと冷えてくる。その感覚がたまらない。
あくまでも小説であり、史実とはけっこう異なるところもあるようだ。Amazon評価は高いものの、全体的にわりと地味で、派手なシーンはない。エンタテイメント性の高いものを求める人には不向きかもしれない。
2018年12月20日
猫との出会いによって、ヘロイン依存から回復していく男性の物語 『ボブという名のストリート・キャット』
映画が面白かったという紹介を受け、先に原作を読んでみることにした。
ホームレス男性と野良猫の交流を描く話だろうと思っていたら大違いで、野良猫(著者によってボブと名付けられる)との出会いによってヘロイン依存症から回復していく男性の「人生の物語」だった。
構成がなかなかに上手く、現在のボブとの生活と、路上生活者になってしまうまでの半生とが交互に描かれていて、決して飽きさせることがなかった。
猫好きにはもちろん、薬物依存、その他の依存症で苦しんでいる人たちに希望を与えてくれるような、そんな本だった。
YouTubeでドキュメンタリがあったので紹介しておく。
2018年12月17日
統合失調症の人が妄想世界に入りこむのはどうしてか?
統合失調症の人と話していると、彼らが妄想世界に入り込む瞬間を目撃することがある。
わりと多いのは、彼らの好まざる問題をアクロバティックな論理(これが妄想)でかわすパターン。たとえば、ハローワークで職探しという話題になったところで、
「天皇の孫だと判明したので働けなくなった」
とかわされる。
妄想突入の瞬間を目撃できたときは、
「この人の精神にとっての負荷は、こういう話題なのか」
と把握できる。その瞬間に居合わせなくても、妄想症状がひどくなったときに、自宅や入院での生活環境を確認してみると、彼らにとっての負荷がなにかを推し測ることができる。
さて、妄想には、被害妄想、誇大妄想、心気妄想など、いろいろな分類がある。
本人にとっての過剰な負荷を回避するための「アクロバティックな論理」が、ある人はその負荷に立ち向かう被害的な内容(「CIAと公安から嫌がらせされる」など)になり、別の人は負荷をするりとかわす誇大的なもの(「天皇の孫だから」など)になる。この負荷回避のパターンに、個々のキャラクタがにじみ出る。
こういう目で見ると、被害妄想を訴える人は妄想世界のなかでの「被害者」ではあるものの、キャラクタとしては「立ち向かう気質」の強い人、誇大妄想や心気妄想を抱える人は「直接的な戦いを避ける」タイプの人であることが多い。
2018年12月14日
発掘! 絶版名著!! 『ザ・ライト・スタッフ 七人の宇宙飛行士』
こんな名著が絶版なんて……。
著者トム・ウルフの語り口がクドい! でも! それが良い!!(それが良いのだ!)
こんな感じのクドさで、読者をグイグイと惹きつけながら、内容そのものも実に素晴らしいものだった。
アメリカとソ連による宇宙競争の最初期を描いたノンフィクションで、宇宙工学その他の専門知識なんてなくても存分に楽しめた(いいか、存分に楽しめたんだぞ!)。
Kidle化される日が来るのかもしれないが、書籍として手元に置いておきたい一冊。
2018年12月13日
美味しい言葉に必要なのは「隠し味」じゃない! まず知るべきは「言葉のレシピ」だった!! 『伝え方が9割』
美味しい言葉を紡ぐのに、一生懸命になって隠し味を探す必要はなかった。
ユニークなものを独力で創りだそうとするのもムダ骨だ。
なぜなら、素人にとってまず必要なのは「言葉のレシピ」だから。
そして、本書は美味しい言葉のレシピを、誰でも手軽にトライできるくらいシンプルに解説してある。ちょっと読んだだけで、以下のような例が思い浮かんだ。
病院の混み合う外来待合室で、苛立つ患者さんから待ち時間を尋ねられた場合の事務員の対応。
❌「今日は予約が多いので、1時間ほどお待ちいただけますか」
⭕「診察にきちんと時間をかけたいので、1時間ほどお待ちいただけますか」
どちらも「1時間ほど待ってください」と言っているのだが、前者は単に病院側の都合であるのに対し、後者は相手のニーズに触れている。たったそれだけの言い回しの違いで、言われたほうの気持ちは変わる。
あくまでも例ではあるが、こういう言い換え、言い回しを考えたり身につけたりするための最初の一歩、ファーストレシピとして非常に優れた一冊だった。
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