2011年12月14日

インセプション

お恥ずかしいっ!!

酒を飲みながら観ていたら、話に振り切られて前半部で寝てしまった。なんだか難しくて、ややこしそうで、つまらなさそうな……。でも新作だし、ネットでの評価も高いし、もう一回チャレンジしてみよう、ということで、翌日に改めて最初から観なおすことにしたところ……、

え、なに、この映画……、おもしろい!!



他人の夢の中に入り、アイデアを盗む仕事をしている主人公たち。だが、今回の依頼は盗むのではなく、アイデアを潜在意識に植え付けるというもの。

この映画のヒロインは、大学生のアリアドネ。アリアドネという名前、どこかで聞いたことがないだろうか。少し説明すると、アリアドネとは、あの有名なミノタウロスの話に出てくるヒロインである。ミノタウロス退治に迷宮へ入り込んでいく英雄テセウスに彼女は恋をして、彼に糸玉を渡す。テセウスは怪物退治を済ませた後、糸をだとって迷宮から脱出する、という話である。映画で、優秀な学生を探す主人公に対してアリアドネが紹介された時、
「なるほど、夢からの脱出に際しては、この人が重要な役割を果たすに違いない」
と思ったのだが、よくよく考えてみるまでもなく、ヒロインが最後に重要な役割を果たすのは映画のお決まりパターンだ。監督が、どういう意図でこの女性にアリアドネという名前を付けたのか分からないが、上記ギリシア神話にちなんでいるんじゃないかな、というのが俺の予想。

複数人で夢を共有するというテーマは、これまでにも色々な映画や本で使われている。ホラーでは、『エルム街の悪夢』シリーズの何作目かで夢を共有したし、『セル』というサスペンス映画では、犯罪者の夢の中に入り込むということをやっていた。

漫画では 『ダークグリーン』というものがある。この漫画は非常に秀逸で、少女コミックながら一時期は全巻を所有していた。今は絶版になっていて、結構貴重な本となっている。話がわき道にそれるが、『ダークグリーン』の話をもう少し続けよう。

物語は、「R‐ドリーム」と呼ばれる奇妙な夢世界を舞台としている。198X年12月20日、世界中の人間が同じ夢を見たが、ほとんどの人たちが、おぼろげにしかそのことを覚えていなかった。夢の中で人々は、「ゼル」と呼ばれる怪物たちとの戦いが繰り広げる。なぜ戦うのかは分からないが、襲ってくるから撃退する。R‐ドリームから出られなくなった人間は、現実では植物人間状態となり、R‐ドリームの中を彷徨う羽目になる。そしてR‐ドリームでの死は、現実での死となる。主人公の西荻北斗は浪人生で、現実では冴えない人間である。しかし、R‐ドリーム内では戦士ホクトとなり、非常に優秀な能力を持っている。ホクトは、R‐ドリームで自分の正体を知らずに夢から出られない最強の少年戦士リュオンや、金色の肌の少女ミュロウらと知り合い、共にゼルと戦っていく。この本がすごいなと思うのは、さりげなく環境問題や人間の権力闘争に触れながら、決して説教臭くなく、エンタテイメントとしての質を高く保っているところ。
おすすめの本なのだが、入手するには困難が伴いそうである。

さて、本題に戻ってインセプション。
ネタバレは避けたいので、内容には触れず、お勧めとだけ書いておこう。最近老けたと言われているディカプリオだが、まだまだ十二分にカッコ良い。この映画は、映像は確かにすごいのかもしれないが、見どころはそこじゃない。以前にも書いたが、今やCGなどの映像技術が発達しすぎて、どんな映像を見ても大して驚かなくなった。
「どうやって撮ったんだろう!?」
という疑問を抱くまでもなく、「CGだろうな」で終了。だから、今や映像は凄くて当たり前で、ストーリーこそが重要。そんな現代の映画背景の中でも、この作品はピカイチの内容だった。個人的には、最後のシーンが気になる。やっぱり、あれって……、そういうことなの?

最後に、このことに関して、すごく興味深い考察をされているブログを見つけたので紹介。

The Secret Doctrine(秘密教理)
[今日の映画]インセプション・その2(完全ネタバレ注意)


これは非常に説得力のある考察だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。