2018年3月5日

心理療法における支持とはなにか? 『心理療法における支持』

精神科医になりたてのころは、かなり薬物療法に偏ったというか、薬に頼りきった考え方をしていた。
「これだけ良い薬が出ているんだから、今や言葉で治す時代じゃない」
大雑把に言えば、そんな風に思っていた。

あれからいろいろ経験し、言葉の力に何度となく驚かされ、精神療法の大切さ、面白さをつくづく感じる現在である。駆け出しの時の薬物偏重の姿勢は、「自分自身の言葉に対する自信のなさ」の裏返しだったのではなかろうか。ではいまは自信満々かというとそうでもないが、少なくとも、「薬」と「言葉」が診療の大切な両輪であることは自覚している。

俺とは逆に、駆け出しのころは精神療法に憧れ、薬物療法には消極姿勢だった医師が、歳を重ねて薬物療法も駆使するようになる、ということもあるだろう。きっと、どちらが良い悪いということはない。最終的な到達地点として、薬物療法と精神療法とでバランスのとれた医療を提供できるようになれば良いのだ。


18人の筆者が、それぞれの思う『支持』についてエッセンスを語る形式。『支持的精神療法』という曖昧模糊としたものを、もう少しきちんと知りたいと考えている若手の精神科医にとっては、とても参考になる一冊。

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