2013年3月5日

テレビの大罪

テレビの大罪 (新潮新書)
精神科医である和田秀樹の本。本人が後書きで述べているように、ところどころすごく乱暴な論理展開がある。特に「この書き方は、まるで医療系番組の怖がらせ方と同じじゃないか」という部分があったので触れておく。

BMIと平均余命との関係について書かれた部分で、
BMI25-25.9がいちばん長生きで、やせ型の死亡危険率はその2.5倍もありました。
この記述は良くない。素人からすれば、やせ形が2倍以上も死にやすいように見える。しかし、危険率が「10%と25%」も「1%と2.5%」も「0.1%と0.25%」も、それぞれ2.5倍であることに変わりはない。これをもっと具体的な人数で示すと、1万人の中で「1千人と2千500人」「100人と250人」「10人と25人」が、それぞれ2.5倍である。危険性を訴える時に、パーセント同士の比を出すと結果が派手で、そのぶん凄く目を引き付けることができるが、実態はほとんど分からないままだ。これがテレビをはじめとするマスコミの手法。本来であれば、後者のように人数で示すだけにして、「1万人中で10人発症する病気が25人に増える」というのは些細なことか重大なことか、その判断は視聴者や読者それぞれの価値観に任せるほうが良い。

とまぁこんな具合に、本書では、
「テレビの手法を攻撃するのに、テレビ的手法を使うのってどうなの?」
と思ってしまうことがちょくちょくあった。

<関連>
上記したようなことが、もっとたくさん分かりやすく書いてある本。
デタラメ健康科学---代替療法・製薬産業・メディアのウソ

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントへの返信を一時中止しています。
一部エントリでコメント欄に素晴らしいご意見をいただいており、閲覧者の参考にもなると思われるため、コメント欄そのものは残しております。
また、いただいたコメントはすべて読んでおります。