2017年2月2日

タイトルはうさん臭いが、きちんとしたサイエンス・ノンフィクション 『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』


1901年、地中海の海底で沈没船の残骸が見つかった。その中に、とても奇妙な機械が含まれていた。それは、精巧な歯車を組み合わせて作られており、機械に刻まれた文字からすると2000年ほど前のものと推測された。このような精巧な歯車を作る「技術」が2000年前にはあったとしても、歯車を組み合わせて複雑な機械に仕立て上げる「知識」はあったのだろうか? そもそも、この機械は何のために作られたのだろう?

タイトルが『古代ギリシアのコンピュータ』なので、なんとなくうさん臭さく感じる人がいるかもしれない。実際、「宇宙人が地球に遺したもの」という説を唱えた人もいて、しかもそれが意外に広まったせいで、この機械が考古学における「キワモノ」扱いになってしまったという経緯もある。

本書は「潜水服の歴史」から始まり、地中海近辺の政治史、そして歯車の数学的な話、考古学研究をめぐる学者たちの戦いと人間模様、といった具合に話が展開される。読みながら、『フェルマーの最終定理』や『暗号解読』といった名作ノンフィクションを思い出した。本書も紛れもなくサイエンス・ノンフィクションであり、サイモン・シンを好きな人なら楽しめる一冊だろう。

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